顧客満足度はどうやったら上がる?満足度向上の取り組みから知る方法までをご紹介
CS対策に失敗した中小企業を分析すると、ある「共通点」が見えてきます。
必要性は認識しているにもかかわらず、肝心な部分を見落としているパターンです。せっかく優れた商品もCS対策に失敗すると十分に成果を出せません。
では、その共通点とはどのようなものしょうか。
今回は多くの中小企業が見落としがちなCS対策に触れつつ、これを爆速で改善し効果的な対策に導く方法に迫りたいと思います。
- 1 顧客満足度とは
- 2 顧客満足度の必要性
- 3 顧客が滿足する・不満を持つ理由
- 4 顧客満足度を上げるための取り組み
- 4-1 データの収集方法を工夫する
- 4-2 意識的に中立的な意見を集める
- 4-3 顧客との接点増加
- 4-4 既存顧客のカスタマーサクセス
- 4-5 DXによるCS対策の促進
- 5 まとめ
顧客満足度とは
顧客満足とは、商品やサービスに対する顧客の満足度を表したもので、CS(Customer Satisfaction)と表記される指標です。
少し難しく感じてしまうかもしれませんが、商品に対する顧客の感想をまとめたものと言えば理解しやすいかと思います。
代表例は商品の5段階アンケートなどで、商品に対する感情を数的データに置き換えてもらうことにより、運用可能な情報として扱います。
顧客満足度の必要性
CSは顧客の正直な感想が含まれた重要データです。
顧客が商品に求めたり不満を感じている要素が含まれるほか、
質問の仕方によっては競合他社との比較情報などが含まれるため、商品改良や売上アップには欠かせないデータです。
現代社会においてCSの必要性を認識しない企業は皆無でしょう。
ただし、企業が見落としがちなポイントが1点だけあります。
それは、CSには「満足感」だけでなく「期待感」が含まれているというコトです。
顧客が滿足する・不満を持つ理由
皆さんは平日の朝に風邪を引いてしまったら、国立病院とクリニックのどちらを受診したいでしょうか。
国立病院という方もいればクリニックを選ぶ方もいるでしょう。
しかし、注目したいのは「動機」です。
国立病院を選んだ方は「しっかり検査してくれる」と期待し、
クリニックを選んだ人は「早く診てくれる」と期待したのではないかと思います。
ここで気付いてほしいことは、
皆さんが実際にサービス(診察)を利用していないにも関わらず「期待感」で受診先を選んでいるということです。
つまり皆さんの顧客も性能や品質ではなく、「期待感」で商品を選んでいます。
ところがCS対策は「改良」が前提である性質上、「期待感」が見落とされてしまいがちです。
本来のCS対策は「いかに顧客の期待を満たすか?」ということですが、
CS対策を誤る企業のなかにははじめから改良を念頭に置いてしまって、
購入動機に触れず改良案ばかりを集めてしまった
無報酬でもレビューする熱烈ユーザーのみの意見を採った
担当者の視野が狭く品質・性能向上ばかりに走ってしまった
というような失敗を犯してしまう例は多くあります。
顧客満足度を上げるための取り組み
本当のCS対策とは「満足感+期待感」をセットにした対策です。
しかし、「期待感」は満足感を比べて見えにくく、
効果的に情報を得るには収集段階から計画的に動きが求められます。
中立的な意見を得るために導入すべき、具体的施策を紹介します。
データの収集方法を工夫する
期待感も満足感と同様に感情情報に過ぎません。
そのままではデータとして活用が難しいのでユーザーアンケートなどで数値化します。
ただし、ユーザーの多くは満足感で評価するので、質問の出し方を工夫すべきです。
例えば、アンケートでは商品利用後の評価だけでなく、
購買動機や不満点など、「購入前の期待感」に繋がる項目を盛り込む施策が考えられます。
また、データから主要な購買層を洗い出すのもひとつの手です。
購入層を年齢や性別・家族構成などで切り分ければ、購入者がその商品にどんな役割を期待しているかある程度見えてきます。
アンケートには具体的な意見がハッキリしないものもありますが、こうした層を分析するには購買層データが有効です。
意識的に中立的な意見を集める
CS情報の収集に意欲的に応じてくれる顧客は少数です。
例えば、アンケートを求めるにしても、無策では10名に1名返ってくれば良いという程度でしょう。
それでも評価してくれるユーザーは、商品に対して熱烈な感想を持っているか、強烈な不満を持っているかのいずれかです。
こうした意見ばかり採っていては主要な購買層からの中立的な意見が得られません。
したがって、CS対策を採る上で重要になってくるのが、
多くの購買層が意欲的にCS情報の収集に協力したくなる積極施策の導入です。
例えば、回答者へのメリット提供などが考えられます。
アンケートの回答率はキャッシュバックやリピート割引、プレゼントなどを提供すると、飛躍的に上昇します。
こうして得られたレビューは中立的で公平な意見も多いため、偏りのない情報獲得を期待できます。
顧客との接点増加
顧客との接点増加も重要施策のひとつです。
アンケートやレビューの活用も重要なCS対策ではありますが、
より効果的な情報収集に努めたいなら、SNSなどを介した顧客との交流や広報戦略も有効です。
SNSは辛辣な意見を受けやすい傾向にありますが、アンケートやレビューでは得にくい未購入者からの情報も入りやすく、
使い方によっては非常に有益な対策案のヒントとなり得ます。
また、調査専門会社による顧客調査も選択肢に入ってきます。
費用はかかってしまいますが、短期間に多くのユーザーから情報を得られるため、素早いCS対策を実施できます。
既存顧客のカスタマーサクセス
カスタマーサクセスとは、商品を購入した顧客が成功体験を得られるよう、先回りしてフォローするCS対策です。
これを販売側が抑えていれば、さらなる売上アップに転換できます。
例えば、カップラーメンを箱買いする顧客は「安さやお得感」に期待し購入しますが、
食べ続けるうちに飽きてしまい不満を抱えやすいという傾向があります。
そこで企業側が、食べ終わったスープにごはんを突っ込む「ぶっこみ飯」や
味やクオリティがガラリと変わって見える「トッピングレシピ」を提供するとどうでしょう。
提供している商品自体はまったく変わっていないのに、顧客自らが工夫して不満点を解消し、長く買い続けてくれるかもしれません。
なかには自分で工夫したアレンジレシピをSNSにアップロードし、売上や知名度アップに寄与してくれるかもしれません。
これが、カスタマーサクセスと呼ばれる対策です。
販売して終わりではなく成功体験(=期待感の充足)のフォローアップにも力を入れる。
期待感と満足感の両者をバランスよく対策した好例です。
事例は日清がスクエニにカップヌードルを差し入れたらCM起用したというものですが、
対象作品であるFF15においても、登場人物がカップヌードルのアレンジレシピを模索し冒険を繰り広げるというものになり、
ファンユーザーが多くのアレンジカップヌードルのリツイートを展開しました。
DXによるCS対策の促進
CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)などをDXツールで運用し、スピーディかつ確実な顧客満足に繋げる対策です。
整理されていない個人情報がデータベースとなり得ぬように、顧客満足に関する情報も未整理状態のままでは十分に活用できません。
バックオフィス業務がスムーズに進むように、ツールのDX化する手段は有効です。
また、最近は社内全体で速やかに情報共有を行えるビジネスコミュニケーションツールと組み合わせる例も出ています。
整理されたCS情報を社内ネットワークで全社員的に共有し会議や検討会で活用したり、
各人の情報を見える化し深堀りしたりと、さまざまな状況でで活用できます。
まとめ
顧客満足(CS)とは、商品を購入したユーザーの満足度を示す指標です。
アンケートなどでレビューを通じてデータ化し活用することで、売上拡大やリピート率の向上が期待できます。
ただし、CSデータは「期待感+満足感」であるにもかかわらず、収集段階で「使用後の感想」に偏りやすく、
購入前の期待感は見落とされがちです。対策として、質問の出し方やレビュワーへの報酬など、企業側によるフォローが求められます。
具体的な施策としては、顧客との接点を増やす、既存顧客のカスタマーサクセス、DXによるCS対策の促進などが考えられます。
特にDX化によるCS対策の促進は、スピード展開が重視される現代社会において重要です。