問題社員とは?問題行動を起こすタイプとその対処法
問題社員、厄介ですよね。
社会にはいろんな人がいるものですが、会社で問題のある人に当たってしまうと、業績や成績への影響など放置できない事態に陥ります。
また、悪いことに「できればいなくなって欲しい…」と思っていても、現実には問題のある人ほど辞めないものです。日本は労働者に甘い社会ですので、カンタンに辞めさせるというわけにもいきません。
そこで今回は、問題社員をパターン別に紹介した上で、効果的な対処方法を解説。さらに問題社員を生み出さない、画期的なマネジメントシステムをご紹介したいと思います。
- 1 問題社員とは?
- 2 問題社員のタイプ一覧
- 2-1 ひねくれ社員
- 2-2 不安定社員
- 2-3 過剰アピール社員
- 2-4 パワハラ社員
- 2-5 親介入型社員
- 3 問題社員への対応方法
- 3-1 面談
- 3-2 配置転換
- 3-3 退職勧告
- 4 問題社員を生み出さないための事前対策
- 4-1 採用試験でのスクリーニング
- 4-2 評価基準や規則の見直し・公表
- 4-3 コミュニケーションツールの導入
- 5 まとめ
問題社員とは?
問題社員とは「性格や行動に逸脱性があり社会にうまく適応できない人」のことです。
原因が能力や経験でなく性格にあるところが特徴で、例えば、他人の意見を受け入れられない、精神的に不安定、他者を傷つけても平気といったパターンが該当します。
放置すると社内や取引先に悪影響を及ぼすケースも多く、必ず対処すべきであるものの、問題社員の行動は性格からきているため矯正が難しいのが難点です。
問題社員のタイプ一覧
ひねくれ社員
ひねくれ社員とは、性格の歪みから会社や上司の意図に反しやすい社員です。
例えば、仕事を覚えて欲しいのにボーッと見ている、歓送迎会や忘年会を正面から断る、
業績未達なのに責任を持たず定時で帰るなど、社会常識的にはあり得ない行動を平気で取ってしまう人が該当します。
さらに厄介なのは、注意や叱責しても反感を持ち、余計に従わなくなるというところです。
ひどいケースでは逆に注意した人を無視したり、上司をパワハラで訴えたり、会社に慰謝料を請求するなどもあります。
不安定社員
不安定社員とはメンタルな問題でトラブルを起こしやすい社員です。
精神的な状態が良いときは特に問題ありませんが、ストレスやトラブルで一旦不調に陥ると泣き出したり、
怒り出したり、懈怠したりとさまざまな問題行動を起こします。
ひねくれ社員との最大の違いは、当人に敵意がないところです。
ひねくれ社員は会社や上司へ敵意から問題行為に及ぶことが多く、自身の非を感じません。
しかし、不安定社員は精神状態を制御できず問題行動を起こすだけで、自身に非があることは理解しています。
過剰アピール社員
過剰アピール社員とは、自己中心的な思考や他人からの承認欲求が強すぎて、問題行動に及んでしまう社員です。
会社は営利団体ですから、業績や成果を追及するのは当然です。しかし、過剰アピール社員は評価への欲求が強すぎて、
顧客の要望や他者への気遣いなど本質的に求められる部分を無視した行動に出てしまいます。
例えば、派手なだけで中身のない提案をしていたり、自宅待ち伏せなどストーカーまがいの営業行為に及ぶなど、
スタンドプレーに及んでしまう社員です。顧客からクレームを受けるケースも多く、管理側としては頭の痛い存在です。
パワハラ社員
パワハラ社員を説明する必要はないでしょう。
自分より立場の弱い人間に対して高圧的な態度に出るため、放置すると新人や部下がドンドン辞めていくといった事態になります。
最近はパワハラに対する世間の目も厳しくなっているため、問題が表面化すると訴訟やイメージダウンのリスクがあります。
パワハラ社員の厄介なところは、自身が上の立場だと問題に感じないというところです。
パワハラは基本的に下に向くので管理職にとっては気付きにくい存在です。
このため、多数の離職や労働訴訟、労基介入など問題が表面化するまでまったく気付かなかったという管理職も多く、厄介な問題として数えられます。
親介入型社員
親介入型社員とは学校問題に親が関与するモンスターペアレントの会社版です。
処遇改善、配置転換、給与交渉など本人に不満が生じるたびに親が会社に乗り込み代弁します。
もっとも厄介なのが、親子そろって聞く耳を持たない人が多いところで、どんなに丁寧に対応しようと徒労に終わるケースが大半です。
親介入型社員は少子化に伴い増加傾向にあるとされています。
問題社員への対応方法
正直なところ、問題社員には早く辞めてもらうのが一番です。
しかし、日本社会で「問題アリだから即クビにする」というような行動はNGです。
クビという結論を出すにしても、そこに至るまでのプロセスに非があると、トラブルになったとき会社が悪いという結論になりかねません。
ここからは、問題が表面化した場合における、合法的プロセスを前提とした取るべき対応方法を解説します。
面談
面談の目的は問題社員自身に客観的な視点を持ってもらい、改善を促すことです。
したがいまして、面談内容は業務への在り方や仕事に対する考え方、周囲との関係などを時間をかけて話し合い、
社員自身に気付いてもらうことに重点を置くと良いでしょう。
非をあげつらうだけでは関係が悪化するだけなので、一緒に寄り添い解決策を目指すというスタンスが効果的です。
残念ながらうまくいかないケースも多いですが、話し合いで自身の問題点に気付き、改善を試みようとする社員もいます。
こうした兆候の見られる社員は管理職としてしっかりとフォローし、周囲に溶け込めるように支えるべきです。
配置転換
配置転換はもっとも確実性の高い解決策です。
例えば、特定の上司に反感を持つひねくれ社員には、言葉を尽くすよりも別の部署に移し環境を変えた方が効果的です。
また、不安定社員も精神的な負荷の小さな部署に配属するなど配慮した対応を取ることで安定化するケースが見られます。
無論、何度変えてもダメだというケースはあるでしょう。
しかし、「配置転換により会社側も努力した」という実績は、のちのち企業リスクが生じた際にも有効です。
会社のためにも検討すべきと言えるでしょう。
退職勧告
面談や配置転換で解決が見込めない場合、いよいよ退職勧告を検討します。
退職勧告の目的は、問題社員に自主的に退職を促し円満な解決を目指すことです。
「お前が悪いんだからとっとと辞めろ」というようなスタンスはヒートアップするだけなので、
あくまで「会社として努力したがこれ以上は難しい」という流れで説得しましょう。
注意点は「強引にならないこと」です。
勧告はあくまで問題社員の任意を促すものです。
高圧的な態度で迫ったり、何度も繰り返し求めるなどの行為に及んでしまうと「任意性」が損なわれ、実質的に強制的な退職推奨と見られます。
こうなってしまうと、たとえ勧告に成功しても、企業リスクが生じた際に大きく不利に働きます。
勧告は任意性を大切にしたスタンスで行うべきです。
問題社員を生み出さないための事前対策
既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、問題社員が起こす「問題」は、当人の性格と企業が求める人物像のミスマッチにより起きています。
したがいまして、理想を言うなら、問題が表面化する前に対処すべきです。
具体的には、採用フローの見直しや評価基準の公表やコミュニケーションの方法を抜本的に見直しなどが考えられます。
採用試験でのスクリーニング
採用時のスクリーニングは問題社員のシャットアウトに最も有効な手段です。
もしご自身が判断する立場にあるなら、単純な能力や実績だけでなく、性格的な傾向や適正も視野に入れ判断しましょう。
内面に関しては面接だけで判断するのは難しいため、適性検査や性格検査を取り入れるなどすると効果的です。
評価基準や規則の見直し・公表
評価基準や規則を公表し、逸脱行動を事前に抑制する施策も有効です。
特にパワハラやスタンドプレーを取る問題社員は評価基準を意識するため、
あらかじめパワハラや過剰行動に対する指針を就業規則等に組み込むことで抑制効果を期待できます。
コミュニケーションツールの導入
社内SNSをトラブル防止手段として活用する手もあります。
社内トラブルが管理職の耳に入るのは、たいてい解決困難な段階になってからです。
このため、最近は社内SNSなどのコミュニケーションツールを活用して社内問題の早期発見に勤め、相談窓口として対応している企業もあります。
社内SNSの長所は部署や役職の垣根を越えて、さまざまな相手とコミュニケーションが取れることです。
会議や電子メールと比べインフォーマル色も強いため、さまざまな立場の社員からの報告を期待できます。
まとめ
問題社員は厄介ですが、日本は解雇規制が強くいきなりクビにするなどの対応は
賢明とは言えません。
このため、最終的に解雇せざるを得ないとしても、まずは面談や配置転換など別の解決方法を検討し、雇用維持に努めたという姿勢を示すべきです。
こうした姿勢は問題社員だけでなく自社を守る意味でも有用です。
もっとも、問題社員に関しては、表面化してから対応するより、未然に防ぐことを主眼に置いた方が効率的です。
未然防止の手段としては選考フローや就業規則・人事評価指針の見直しが有効ですが、
これらの手段にアクセスできる人材は限られるため、別の解決方法を目指すというのもアリでしょう。
当サイトでもっとも推奨したいのは、社内SNSの活用による予防策です。
社内SNSは時間や場所に捉われずにインフォーマルな雰囲気でやりとりすることができるため、
相談窓口として運用すると、さまざまな立場の人材から有益な情報が得られます。
どんな問題社員も入社直後から「問題を起こしてやろう」と考えているわけではありません。
適正や性格の不一致などによる不協和音が原因で結果的に生じているにすぎませんから、
表面化前に相談に乗り、早期対応に努めることで、良好な結果を期待できます。