顧客の声を知る方法とは?顧客満足度調査の方法とポイントを解説
売上アップにリピーターの増加、新規顧客の獲得と顧客満足(CS)が企業に与える影響は多々あります。今やCSを意識しない企業は存在しないといっても良く、多くの企業が効率的なCS調査を追求しています。
この記事ではCS調査の基本や流れ、調査方法など基本事項を解説します。
- 1 顧客の声を知るには
- 2 顧客満足度調査とは
- 2-1 定量調査とは
- 2-2 定性調査とは
- 3 調査目的を明確化する
- 3-1 調査目的の明確化
- 3-2 対象者の明確化
- 3-3 仮説を立てる
- 4 顧客満足度調査のメリット
- 4-1 リピーターが増加する
- 4-2 既存顧客のLTV向上効果
- 4-3 顧客体験を改善することで新規顧客の増加が見込める
- 5 顧客満足度調査のデメリット
- 5-1 費用がかかる
- 6 時間がかかる
- 6-1 効率的に回答を得るには施策が必要
- 7 調査の流れ
- 7-1 目的の確認
- 7-2 対象の確認
- 7-3 調査方法の決定
- 7-4 設問設計
- 7-5 調査実施
- 7-6 集計分析
- 8 顧客満足度調査のポイント
- 8-1 設問は満足度を意識する
- 8-2 語られない事実を分析
- 8-3 調査して終わりにしないこと
- 9 まとめ
顧客の声を知るには
顧客満足とは自社の商品やサービスに対する顧客の体験をデータ化したものです。
英語でCustomer Satisfactionと表記するためCSと略されるのが一般的で、企業に商品開発やサービスの改善、マーケティングへの活用など様々なヒントを与えてくれます。
顧客満足は企業側が能動的にアクションしないと入手できない情報です。
このため、多くの企業は自社のCSを把握ために調査を実施しますが、これは一般的にCS調査と呼ばれます。
顧客満足度調査とは
CS調査は大きく分けて、評価を数的なデータで表記した定量調査と、言語や行動など数字以外で表記された定性調査の2種類に分類されます。
定量調査とは
定量調査とは、多数の顧客を対象に、自社のサービスや商品について事前に用意した質問(5段階評価やYES/NOなど)に沿ってCSを評価してもらう方法です。
定量調査の結果は数的に表されるため説得力があり、多数の回答が得られることから統計情報としても整理できます。また、比較的安価に実施できるところもメリットです。
ただし、定量調査で得られる情報は結果や数字に過ぎません。
このため、数値以上の情報を得ようとしたり、深い情報を得ようとするなら、質問の仕方を工夫したり、数字を読み解く力が必要です。
また、後述の定性調査のように回答者が自覚していない感想や体験は得にくいという欠点もあります。
定性調査とは
定性調査とは、インタビューを取ったり、顧客同士で議論する機会を設けるなどして、商品やサービスに対するCSを調査する方法です。
定性調査からは、単純な数字では評価できない感情的なデータが得られます。
例えば、商品を購入する前に持った期待感やどのようにして購買に至ったのか、購入して満足できた理由など、深堀しなければ得られない体験に関する情報です。
また、会話時の表情や言動から回答者自身が自覚していない、本当の動機や要因に関する情報も得られます。
もっとも、定性調査では対象が少数に絞られるため、顧客全体の意見を把握するには向きません。
また、サービスに対して関心が薄いなど調査相手を誤ると、十分な情報は得られない可能性があることにも注意が必要です。
調査目的を明確化する
CS調査を効率的に実施するためには事前計画の策定が大切です。
直に下記の3点は重要ですので、調査前に必ず明らかにしておきましょう。
調査目的の明確化
調査を実施するにはできるだけ具体的な目標を定めましょう。
例えば漠然と「売上アップ」、「CV増加(Conversion=成約)」などを定めても、質問内容自体が「弊社の印象を~」といった漠然としたものになってしまい、マーケティングに役立つレベルの
深い情報を得るのは難しいです。
逆に「リピーターの購買動機を知りたい」、「雑誌広告の成果が知りたい」といった情報で絞り込むと、問うべき内容も具体化され、有益な情報を得やすくなります。
対象者の明確化
誰に対して実施するのかを明確にしましょう。
例えば、商品の継続購入の動機を知りたい場合、常習的に購買しているリピーターに調査しなければ意味がないです。
雑誌広告からの流入を知りたい場合は、新規で購入したユーザーの意見が重要です。
このように、対象者は必ず目的に適合したものでなければいけません。
仮説を立てる
調査目的や対象に対して仮説を立てましょう。
調査で得られたデータや感想から、全ての情報が得られるとは限りません。
ユーザーのなかにはあえて沈黙したり、自身ですら自覚していない動機や理由があったりするため、こうした調査だけでは見落としがちな情報を補完するため、仮説は必要です。
皆さんはバイアグラ実験をご存知でしょうか。
バイアグラはもともとファイザー社が狭心症治療に効果があると説を立て開発した薬です。
しかし、治験後になぜか被検者が余剰薬の返却を嫌がりました。狭心症に効果があるなら頷けますが、よく見ると嫌がっているのは男性被検者ばかりです。
調査したところ、なんと勃起不全に大きな効果があることがわかったのです。
バイアグラは狭心症治療薬としては芳しくない薬品でした。しかし、バイアグラは海を越え文化を越え、世界中で親しまれる医薬品に成長しました。
ファイザー社も狭心症治療薬としての治験は中止しています
顧客満足度調査のメリット
CS調査は使いようによって様々なマーケティング施策に活用できます。
このため、メリットも多岐にわたり、大きな効果も期待されます。ここでは、代表的なものを紹介します。
リピーターが増加する
商品の購買動機や期待感を調査すると購買単価やリピーターの増加が期待できます。
そもそも顧客満足とは、商品に対して抱いた期待が購買後に満たされることによって生まれる感情的な評価です。
CS調査で顧客が求めている要素を洗い出し改良できれば、顧客満足はより充足し、顧客はブランドや商品の熱心なファンユーザーへと踏み出します。
一般的にこれは「顧客のロイヤルティ化」と呼ばれる事象です。
ロイヤルティ化したユーザーは自社商品を優先的に選択し、積極的に購買するため、リピーターや売上確保に大きな影響を与えます。
既存顧客のLTV向上効果
既存顧客は商品への期待感や感想、購買動機だけでなく、継続理由や競合他社との比較など多くの情報を有しています。
これらをCS調査で洗い出せれば、自社商品の弱点や不満点が明らかになります。
これをリテンション施策に反映すれば「一度購買したが買わなくなってしまった顧客」や「商品Aを購買しているユーザーにBも提案する」といった売上増加施策が打ち出せます。
企業が安定した成長を継続するには「平均顧客単価」と「平均継続回数」の両輪的な成長が大切です。一般にはこうした考え方を「LTV(Life time Value )」の向上と呼びます。
顧客体験を改善することで新規顧客の増加が見込める
CS調査は既存顧客を対象に実施しますが、得られたデータを活用すれば新規顧客の獲得にも利用できます。
例えば、既存顧客から購買動機や商品に抱いた期待感を分析すれば、同様の悩みや期待を持つユーザーに効果的には訴求できます。購買後の満足度が向上すると、SNSの広報活動に参加((リツイートなど))したり、口コミを拡散するなど、積極的に広報活動を担ってくれるようになります。
顧客満足度調査のデメリット
CS調査のデメリットは主に人材や費用によるものです。
費用がかかる
現在のCS調査は主にマーケティング会社に依頼し実施するため、相応の費用がかかります。
特に規模が大きく実績も豊富な調査会社に依頼すると費用が高額になりがちです。
予算が確保できない場合、自社調査を検討する手もあります。
時間がかかる
CS調査はサンプル数が重要となるため数週間~数カ月の期間がかかります。
成果を得るまで必要な期間も計算し十分な時間を確保して実施すると良いでしょう。
効率的に回答を得るには施策が必要
顧客はCS調査に対しあまり前向きではありません。
手間や労力がかかる割に自身にメリットがないからです。ただお願いしても十分なサンプル数を
集まりにくいでしょう。
対策案として、顧客に何らかのメリットを提供する施策が考えられます。
例えば回答者にクーポンを進呈したり、抽選でプレゼントを提供するなどです。
調査の流れ
CS調査の流れを整理します。
目的の確認
調査の目的を整理しましょう。
調査によって何を実現したいのか、できるだけ具体的に定めると調査も明確になってきます。
対象の確認
調査対象を適切に選別しましょう。
継続購買の動機を知りたいのに新規顧客をターゲットに据えても意味はないです。目的に沿った対象を絞りこみます。
調査方法の決定
調査方法を確定します。
専門の調査会社に依頼すると正確ですが多額の費用がかかります。インターネット設問や
商品同梱、店頭配置など自社で実施する方法も多数あるので、適切な方法を検討しましょう。
ただし、インターネット設問はセキュリティを意識せずに設計するとサイバー攻撃を受けやすく
注意が必要です。
過去には不正なコマンドを注入されアンケートフォームから情報が流出したケースがあります。
設問設計
設問を設計します。
内容は目的に沿ったものが望ましいです。ただし、設問が長すぎると回答者が疲れてしまい、
途中で離脱してしまったり、適切に回答しなくなる可能性が生じます。
多くとも30問程度に抑えておくと回答を得やすくなります。
調査実施
実際に調査を実施します。
集計分析
調査結果を集計しデータにします。
得られた情報を分析すると様々な情報が得られるはずです。
顧客満足度調査のポイント
最後にCS調査を成功に導くために必要なポイントを解説します。
設問は満足度を意識する
CS調査(顧客満足度調査)は文字通り、顧客満足を計測するための調査です。
既に繰り返し触れていますが、顧客満足とは「購買前に抱いた期待が体験後に満たされる」
ことによって生まれるものです。強力な広報により期待値ばかりが高くとも、
体験部分に不満があってはCS効果は得られません。
こうしたCS部分を把握するには調査の行い方が重要です。
即ち、設問内容に「購買前に感じたこと」、「購買後に感じたこと」、「どちらがより充足したか」といったものを加えると効果的に把握できます。
語られない事実を分析
アンケートを鵜呑みにするだけでなく真実を分析する姿勢も必要です。
調査対象は常に真実を語るとは限らないからです。
例えば、内定辞退の理由が「給料が安い」というものでも、
面と向かって「給料が安いので辞退します」と語る就活生は滅多にいません。
多くは「どうしても働きたい会社がある」、「夢を実現したい」
など月並みな言い分に終始します。
もちろん、就活生の言い訳を鵜呑みにする方はいないでしょう。
しかし、本当の理由となるとスグに把握するのは困難です。
この時点で「給料が安い」というのは仮説にすぎず、「上場企業ではないから」、
「面接官の印象が悪いから」などの他に理由があるかもしれないからです。
理由を特定するには、就活生が選んだ就職先を自社との対比で分析しないと見えません。
CSにおいても回答の立場や背景を意識した分析行動が求められます。
調査して終わりにしないこと
「調査して終わり」はCS調査にありがちな失敗のひとつです。
CS調査は顧客の導線や商品に対する印象など売上に直結する情報の集合体です。
しかし、得られた情報の分析や正しい施策への反映なくして、売上増加は見込めません。
CS調査を実行する時点で改善案も受け入れる組織的な準備も必要です。
まとめ
CS調査とは顧客体験に関する情報を集め売上アップやリピート率向上に活かすための施策です。
調査方法としては、数的なデータを集める定量調査と経験や感動など非数的な情報を集める定性調査の2種類があるため、目的に応じて使い分けると効果的です。
CS調査を成功に導くためには、調査前の準備や分析体制が欠かせません。
特に調査対象は全て真実を語ったり自覚しているとは限りませんから、分析結果をそのまま受け止めるのではなく、社内で分析したり、共有するなどの施策が有効です。
時には管理サイドだけでなく、現場サイドの人材とも共有し分析することで、見えにくかった真実が見えてくることもあるでしょう。
社内の情報共有は社内SNSの活用が有効です。
弊社の日報革命は時間や場所に捉われず組織内の全メンバーと情報共有が可能なため、CS調査の計画立案や設問設定、情報分析に至るまで多角的に活躍します。
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