生産性が上がる?ナレッジマネジメントが注目されるワケとは
意外な話かもしれませんが、現場で優秀だった方ほど部下の生産性に悩みがちです。
目標設定にスケジュール管理、フォローアップまで徹底してこなしているのに、なぜか部署の成績が上がらない。かつての自身とまではいかずとも、もう少し成果が出てもいいはず…。頭を抱えてしまいますよね。
今回ご紹介する「ナレッジマネジメント」は、そんなお悩みをお持ちの方に、是非知っていただきたい考え方です。貴方が持つ全ての経験を、組織内で知識として共有し、生産性を高めるというテクニックです。
- 1 ナレッジマネジメントとは
- 2 ナレッジマネジメントが注目される理由
- 2-1 銃と弓はどっちが強いか?
- 2-2 職人バーガーとバイトバーガーはどっちが儲かる?
- 3 ナレッジマネジメントの効果・メリット
- 3-1 暗黙のルールがなくなる
- 3-2 人材育成・教育の効率化
- 3-3 横展開がしやすくなる
- 4 ナレッジマネジメントの手法
- 4-1 導入する目的を明確にしておく
- 4-2 動画や画像の活用
- 4-3 ナレッジツールの活用
- 5 まとめ
ナレッジマネジメントとは
ナレジットマネジメントとは「あの人いないとダメだよね!」を変えてしまう手法です。
直訳すると「知識の管理」。60年代の社会科学者マイケル・ポランニー氏の原案から生まれました。小難しく感じてしまうかもしれませんが、要は特定の従業員が持っている知識を引き出して、誰でも扱える知識として共有するというものです。
どんな人でも何か一つのことを継続すると、自然と「自分流」、「裏技」、「〇〇式」などノウハウや知識のようなものが生まれますよね。こうした知識は問題のあるものも多いですが、中には業務改善につながる有益な知識も含まれています。
ナレジットマネジメントは、管理側がこうした有用な経験や情報を従業員から引き出して、誰でも学べる知識に加工、共有するというものです。
得られた知識は誰でも身に着けることができるため、今まで特定の従業員しか対応できなかった業務を誰でもできるように広げたり、他の知識と組み合わせて新たなアイデアを創出したりと、様々な形で活用できます。
ナレッジマネジメントが注目される理由
ナレッジマネジメントが注目される根本的な理由は「特定の人の知識を組織内で共有する」という考え方が、組織の効率的な成長に欠かせないからです。
これはナレジットマネジメントが登場するはるか前から、世界共通の課題でした。
例として、中世期の銃と弓の例を見てみましょう。
銃と弓はどっちが強いか?
中世時代、戦場で銃と弓のどちらが優れているかという議論がありました。当時の達人同士が争い相討ちになった例もあり、一見、優劣をつけるのは難しく見えてしまいますよね。
ですが、「共有の容易さ」という視点でみると、両者の差は歴然です。
銃の良いところは、刀を握ったこともない初心者でも少しの訓練で使えるようになるところです。言い換えれば、ちょっとした訓練で他人に教えることができるため、知識の共有が容易でした。対して、弓は達人が使えば強力ですが、扱うには相当な修練とカンが求められ、属人性の強い武器でした。
結論は皆さんご存知の通り、銃に天秤が傾きました。
当時の銃はお世辞にも使い勝手が良いとは言えず、弱点も多くありました。しかし、弓と比べ運用知識が共有しやすく、兵が短時間で強くなるため、広く普及したのです。
職人バーガーとバイトバーガーはどっちが儲かる?
銃と弓は戦争の話に過ぎませんが、経営にも同じような話があります。
どんな会社にも必ず1人はエース級の人材がいますよね。彼らは会社を支えてくれるので前線に出てもらいたくなりますが、実際には彼らから知識や経験を引き出して、知識として規格化した方が会社としては成長します。
最たる例が大手ハンバーガーショップ「マクドナルド」でしょう。
創業者のマクドナルド兄弟はファストフード経験10年以上の名人で、おいしいハンバーガー作りを目指していました。ですが、兄弟しか創れない匠のハンバーガーでは大量販売でガッポリ稼ぐことはできません。
そこで兄弟は、自身がハンバーガーを作るのでなく、彼らの培った知識を形式化・規格化しました。食材から店舗レイアウト、オペレーションに至るまでできる限り形式化し、採用したばかりのアルバイトでも作れるように提供したのです。
結果は皆さんご存知ですよね。
本家アメリカには多様なハンバーガーショップがありますが、マクドナルドはどんな名店も駆逐して、世界一のハンバーガーショップに君臨しました。
ナレッジマネジメントの効果・メリット
続いて、ナレッジマネジメントの効果やメリットを整理しましょう。
暗黙のルールがなくなる
伝統工芸の番組などで、この道〇〇年といった人が出てきますよね。
彼らは他人に真似できない技術や知識を持ちますが、肝心の部分は「長年のカンや経験だ」とまとめます。
こうした言葉に表せない知識(暗黙知)を解き明かし、誰でも理解できる知識(形式知)に加工するのがナレッジマネジメントの役割です。
カンや経験を他人が真似するのは困難ですが、ナレッジマネジメントにより形式化された知識なら、誰もが習得可能です。突き詰めれば、アイデア創出者に師事する必要すらなく、知識は会社の財産として生きてきます。
人材育成・教育の効率化
ナレジットマネジメントにより形式化された知識は、誰でも学べるところが長所です。
最も効果を発揮するのは人材育成の場面です。
業務マニュアルは大抵の会社にありますが、ナレジットマネジメントにより形式化された知識は、従来のマニュアルでは得られないベテランのカンや経験を与えてくれます。
このため、ナレジットマネジメントにより構築されたマニュアルを使えば、新人教育や研修期間を効率的に進めることが可能です。
無論、実務経験は欠かせませんが、一人前になるまでの期間は大幅に短くなります。
横展開がしやすくなる
暗黙知と違い形式知は情報共有が容易なため、同じ業務であれば社内のどんな人材でも等しい品質で提供できます。
したがって、以前は特定の人材しか成しえなかったハイレベルなサービスをより多くの人が提供することも可能です。
例えば、ある業界に販売したサービスや提案を、同業他社に展開する場合などにおいて活躍する知識です。
ナレッジマネジメントの手法
続いて、ナレッジマネジメントの手法を解説します。
導入する目的を明確にしておく
導入目的の明確化は必要です。
ナレジットマネジメントは従業員から知識を引き出し、誰でも扱えるように加工する手法です。
しかし、明確な目的が定まっていないままに導入すると、どのように形式化すべきかがまとまらず、知識だけが積まれがちです。
これでは、ただの乱雑なデータベースに過ぎません。様々な情報が無計画に入り乱れ、どのように処理して良いかわからなくなってしまうでしょう。
こうした事態を避けるためにも、まずは導入前にしっかりと目的を定め、集めた情報を整理するクセを付けましょう。
動画や画像の活用
ナレジットマネジメント最大の難点は、言葉に表せないカンや経験(暗黙知)をどのようにして誰でも理解できる知識(形式知)に変換するのかということです。
もともとが言葉に表せるものではありませんから、そのまま習得しようと試みても、理解できるものではありません。
日報、業務報告、ヒアリングなど様々な媒体から断片的な情報を集め、地道に整理する作業が必要でした。
ただし、現代社会は動画や画像が容易に制作できる時代です。
これを利用して、言葉に出来ない情報を視覚化し、形式知に変換するという動きもあります。
また、エクセルやスプレッドシートを用いて情報を電子媒体で整理・共有し、効率的にナレッジ化を進めるという手もあります。
ナレッジツールの活用
ナレッジツールは、情報収集や情報検索・共有などを容易にし、ナレッジマネジメントの進行を効率的に支援するソフトウェアです。
通常は社内SNSやコミュニケーションツールとしての形態を採っており、特定のキーワードや人物に対するサーチ機能や分析機能や情報共有機能を備えています。
通常のITツールと比べ総じて費用がかかりますが、「情報収集→知識加工→技術共有」を1ツールで完結できるため、スムーズなナレッジ化を求める方にとって一義的な選択肢となります。
まとめ
ナレッジマネジメントは、熟練者が持つ経験やカンを、誰でも理解できる知識に加工して共有するというものです。
企業としては特定の人物に依存せずに済むため、経営の安定化、効率化が期待できます。
実際、現在では多くの企業がナレッジマネジメントを取り入れています。
ただし、ナレッジマネジメントを実現するには、優秀な人材から多くの暗黙知を集めなくてはなりません。
対象が一人なら良いのですが、時にはグループだったりチームが対象になったりしますから、しっかりとした情報管理が必要です。
そんな時に導入したいツールこそ、社内SNSなどの「ナレッジマネジメントツール」です。
例えば、社内SNS「日報革命」は、各メンバーの投稿や報告がそのままデータベースとして累積するよう作られています。また、有用な投稿を促す評価システムや社内通貨発行機能を搭載しているため、積極的に有益な情報提供を期待できるツールです。
もちろん、ビデオチャットや動画、画像共有も可能です。
多くの有益な情報を必要とするナレッジマネジメントにおいて「日報革命」は抜群の相性を発揮します。
生産性を上げ、効率的なマネジメントの実現を目指す方には、強くオススメできるツールです。