人事評価の基準とは?従業員の納得する人事評価作り
従業員を評価する上で、何を基準にするかは非常に難しい課題です。人事評価をただ査定するものではなく、成長や意欲の向上につなげるためには、基準を明確にする必要があります。
この記事では、人事評価の目的やシートの活用方法を解説します。上司・部下それぞれの面談のポイントにも触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 1 人事評価とは?
- 1-1 能力や成長を把握するため
- 1-2 育成のきっかけにするため
- 1-3 モチベーションを高めるため
- 2 人事評価シートを運用する際のポイント
- 2-1 従業員自身で目標を設定する
- 2-2 評価者と目標や心構えを共有しておく
- 3 【上司】評価面談を行う際のポイント・注意点
- 3-1 目的を明確に伝える
- 3-2 部下が話しやすい雰囲気をつくる
- 3-3 意見をしっかり聞く
- 3-4 フィードバックや期待を伝える
- 3-5 面談後のフォローを怠らない
- 4 【部下】評価面談のポイント・注意点
- 4-1 あらかじめ自己評価をしておく
- 4-2 評価やフィードバックを真摯に受け止める
- 4-3 面談も評価に含まれる意識を持つ
- 5 基準を決めて公正な評価をする
- 6 まとめ
人事評価とは?
人事評価を行う前に、目的を明らかにしなくてはいけません。
目的がブレていると、ただ評価をして終わりになってしまい、次に生かされないことが多いです。
次につなげるためには、以下のような目的を設定すると良いでしょう。
・能力や成長を把握するため
・育成のきっかけにするため
・モチベーションを高めるため
能力や成長を把握するため
人事評価をするためには、従業員の能力や成長を把握する必要があります。以前の能力との変化、できるようになったことなど、現在のスキルと成長を知るきっかけになります。
例えば、分析能力が上がっていることがわかれば、マーケティング部門に配置転換するなど、スキルを最大限に活用できるようになります。
育成のきっかけにするため
人事評価では、社員の良いところやスキルだけではなく、課題を見つける役割もあります。
業務への取り組み方や人との接し方など、様々な課題を認識し、共に取り組むことによって、人材育成が活性化します。
業績を上げた、スキルを身につけたという部分だけにフォーカスしてしまうと、課題を認識せずに、ダラダラと次の人事評価まで過ごすかもしれません。一つのきっかけとして、人材の弱みを発見し、解決への方向性を示すことが大切です。
モチベーションを高めるため
適切な人事評価を行うことによって、社員のモチベーションを高めることができます。
仕事に見合った給与や賞与、役職などが与えられれば、頑張りが認められることがわかり、より一層やる気が湧いてくるはずです。
一人ひとりのモチベーションアップは、企業を成長させる原動力になります。業務効率や生産性などが上がり、業績アップや目標達成につながるでしょう。
人事評価シートを運用する際のポイント
人事評価をする上で、評価シートは便利なツールです。
評価を項目ごとに整理しやすく、正しい評価をしやすくなります。
便利な評価シートをより効果的に活用するためには、2つのポイントがあるので、ぜひ実践してみてください。
・従業員自身で目標を設定する
・評価者と目標や心構えを共有しておく
従業員自身で目標を設定する
人事評価シートは、まず従業員が自己評価を記入します。自己評価の基準となる目標は、従業員自身が設定するのがポイントです。
自分自身が感じている課題や目標を盛り込むことで、より達成に向けた意欲が湧きやすくなります。達成の有無に関わらず、自分事として取り組んだことで、成果を感じられるはずです。
とはいえ、目標を自分で立てるのが難しい従業員もいるでしょう。その場合は、売上や成約数などの数値目標と、接客に力を入れるといった取り組み方に関わる目標に分けると、目標を考えやすくなります。
評価者と目標や心構えを共有しておく
目標や心構えを知らずに、評価者が評価に移ると、公平な視点で見られないことがあります。評価者自身の視点と部下の取り組みたいことが違うこともあり、評価の軸がブレやすいです。
あらかじめ設定した目標と達成に向けた心構えを共有しておくと、評価のズレは少なくなります。
上期や下期など評価をスタートする時期に面談を設定し、擦り合わせておくと良いでしょう。
【上司】評価面談を行う際のポイント・注意点
評価面談を行う上司は、部下に配慮して実施する必要があります。5つのポイント・注意点を理解して、評価面談に取り組みましょう。
・目的を明確に伝える
・部下が話しやすい雰囲気をつくる
・意見をしっかり聞く
・フィードバックや期待を伝える
・面談後のフォローを怠らない
目的を明確に伝える
面談を行う際は、面談の目的をしっかり伝えましょう。前期の評価のため、成長のきっかけにしてもらうため、今後の目標を決めるためなど、なぜ面談を行うかを明らかにすることが大切です。
このステップを省いてしまうと、認識がズレたまま終了し、面談を行う意味が薄れてしまいます。評価を行う上司自身が面談の意味を理解し、明確に伝えられるようにしましょう。
部下が話しやすい雰囲気をつくる
面談というと、部下にとっては緊張する場合が多く、思うように会話できないケースもあります。そのため、簡単な雑談から始めたり、オープンの体勢を心がけたりして、話しやすい雰囲気づくりから行いましょう。
質問の選択肢を設けず、自由に発言してもらう工夫も重要です。和やかな雰囲気がつくられれば、互いに意見交換がしやすく、有意義な面談になるでしょう。
意見をしっかり聞く
社員の話を聞いているときは、遮らずに最後まで聞きましょう。途中で割って入ると、威圧的な印象を与えたり、社員の気分を害したりする可能性があります。
気になることがあった場合は、メモなどに記録し、話がひと段落してから質問しましょう。
しっかり話を聞いてくれたことは、部下から信頼を得るきっかけのひとつです。
フィードバックや期待を伝える
評価をただ伝えるのではなく、フィードバックも怠らないことが大切です。なぜその評価になったのか、どのような取り組みを評価したのかなどを伝えることで、部下は自分の強みや課題を知ることができます。
また、評価の良し悪しに関わらず、自身の課題を聞くことは少なからずストレスがかかります。
そのため、評価とフィードバックに加えて、期待を伝えることがポイントです。会社や自身が期待していることを伝えると、面談をポジティブに締めることができ、モチベーションアップを期待できます。
面談後のフォローを怠らない
面談が終わったら、すぐに次の取り組みが始まります。フィードバックや期待を受けて、部下がどのように行動しているかをチェックし、必要に応じてフォローしましょう。
目標達成を助けることは部下の信頼を得るきっかけになり、部下の成長やモチベーションを引き出すことにもつながります。
【部下】評価面談のポイント・注意点
上司だけではなく、部下も評価面談に取り組む心構えが求められます。
より良い機会にするためにも、ポイントと注意点をしっかり理解していきましょう。
・あらかじめ自己評価をしておく
・評価やフィードバックを真摯に受け止める
・面談も評価に含まれる意識を持つ
あらかじめ自己評価をしておく
面談は、評価へのフィードバックや質問を通して、上司とコミュニケーションをとる機会です。
ぶっつけ本番ではなく、事前に自己評価を行い、伝えたいことをまとめておきましょう。
上司の評価と自己評価が合っているかを確認し、ズレている場合はなぜそうなったのかを整理することが大切です。
評価やフィードバックを真摯に受け止める
評価やフィードバックは、内容によっては厳しいものかもしれません。評価は良くても、課題を指摘されることもあります。
評価の理由がはっきりしているなら、反発することなく、まずは真摯に受け止めましょう。課題や弱みに納得できる場合は、腐らずに来期の取り組みに生かすことが大切です。
面談も評価に含まれる意識を持つ
面談も評価対象のひとつであり、来期につながっている意識を持ちましょう。上司と親しいからといって言葉遣いやマナーが守られていないと、ネガティブな印象を与えてしまいます。
話を聞く態度や話し方なども、面談を通して上司に見られているはずです。ビジネスパーソンとしての成長を見てもらえるように、しっかりとした態度で臨みましょう。
基準を決めて公正な評価をする
公正な人事評価を実施するためには、明確な基準が必要です。人事評価の主な基準には、3つの項目があります。
・業績
・能力
・情意
業績は数値化できるもので、売上や成約数など企業への貢献度が評価の対象になります。目に見える数値が評価につながりますが、業績だけだとプロセスに目が向きません。
そこで基準に含めるのが、能力や情意です。仕事で身につけたスキルや自己研鑽で習得した資格などを評価します。
業績の達成を縁の下で支えたり、トラブルを未然に回避したりすることも能力に関する評価です。
情意とは、業務態度や行動のことを指します。勤務態度や言動などが評価の対象です。
上司だけの評価だと主観が入りやすいので、同僚や部下など様々な角度の評価を行うことが重要になります。
まとめ
人事評価で最も大切なことは、明確な基準の元、公正な評価をすることです。業績や能力、取り組み方などを総合的に判断する必要があります。
公正な評価は、人材の成長やモチベーションアップなどにつながり、従業員一人ひとりへはもちろん、企業へのメリットも多いです。
上司・部下目線の面談のポイント・コツも参考にして、公正な人事評価を実施していきましょう。