「早期の離職を防ぐには?」従業員の定着を進める5つの対策を解説
中小企業にとって若手ほど貴重な人材はありません。
せっかく苦労して確保したのに早々と退職されてしまうと、損失は大きなものになってきます。「どうやって繋ぎとめるか?」は人事責任者の共通課題ではないでしょうか。
ここでは若手や退職してしまう理由や防止策を解説します。
- 1 早期離職とは?
- 2 若手社員の早期離職率 は?
- 3 なぜ早期離職がおきるのか?
- 3-1 私生活を犠牲にする働き方は好まない
- 4 「先輩」の存在がとても重要
- 4-1 仕事にミスマッチを感じている
- 5 社員の離職を防止しないとどうなるか
- 5-1 採用や育成コストの喪失
- 5-2 企業イメージや応募人材の質の低下
- 5-3 企業文化や成長意欲の低下
- 6 早期離職を防ぐための対策
- 6-1 ワークライフバランスに向けた施策
- 6-2 労務管理の適正化
- 6-3 人間関係への注意
- 6-4 インターンシップの導入
- 6-5 社内SNSの活用
- 7 まとめ
早期離職とは?
早期離職とは、新人が入職後数年以内に辞めてしまう状態です。
年数に厳密な定義はありませんが「3年以内」とするのが一般的です。比率で見ると大企業よりも中小企業で高くなり、業種や職種別に大きな開きが生じます。
若手社員の早期離職率 は?
近年は離職率が高く「3人に1人は3年で辞める」という時代に突入しました。
厚生労働省公開の「新規学卒者の離職状況」によると、社員500名未満の企業において新規大学卒業者の22.1%~42.1%が、新規高校卒業者の26.0%~49.1%が3年以内での離職を決断しています。
業種別に見るとサービス関連業が突出して多く、介護・福祉、小売業と続きます。
なぜ早期離職がおきるのか?
日本型雇用において就業先は人生の大半を過ごす生活基盤のひとつです。
当然、離職はリスクと位置付けられます。では、なぜ若手が離職してしまうのか。厚生労働省公開の「平成30年若年者雇用実態調査」や内閣府「就労等に関する若者の意識」が示すデータから見ていきましょう。
私生活を犠牲にする働き方は好まない
若手は人生の軸足を仕事ではなく私生活に置いています。
内閣府公表の「就労等に関する若者の意識」では、若手全体の63.7%が仕事よりプライベートを優先すると回答しています。
また、厚生労働省による「平成30年若年者雇用実態調査」では、若年者の離職理由のトップに「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(30.3%)が挙がりました。
これらはいずれも、若手が充実した余暇を過ごせる環境を求めていることを示しています。言い換えれば、長時間労働や休日出勤など働き方は求めていないということです。
「先輩」の存在がとても重要
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」によると、若年者が早期離職する理由は多いものから、
「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(30.3%)
「人間関係がよくなかった」(26.9%)
「賃金の条件がよくなかった」(23.4%)
と続きます。人間関係の悪い職場を嫌う傾向にあるのは間違いのないことです。
では、若手人材にとって、どのようなことが起きてしまうと「人間関係が悪い」と感じてしまうのでしょうか。
残念ながら公的なデータはありませんが、人材メディア大手のエン・ジャパン実施の「職場の人間関係意識調査」がヒントになります。
これは同社メディアを通じて1万人に「誰との人間関係が転職のきっかけになったのか?」などをアンケートをしたものですが、20代の回答者の多くは「先輩(46%)」または「同僚(30%)」と回答。直属上司は13%に過ぎない結果となりました。
仕事にミスマッチを感じている
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」は転職を考えた理由も調査しています。
これによると、20代の43.5%~48.3%は「仕事が自分に合った会社にかわりたい」、約37.9%~38.8%は「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」と回答。
新卒者の一定数は入職後初めて就いた仕事にミスマッチを感じており、これが早期離職の理由になっていると推定できます。
社員の離職を防止しないとどうなるか
企業にとっては若手の早期離職は明かなマイナスです。
ここからは人事部門が意識すべき離職防止策の欠如がもたらす影響を解説します。
採用や育成コストの喪失
日本型雇用は「入って育てる」スタイルです。
例えば、新卒入社の場合、企業はコストを投じて1週間~1カ月にも渡る大規模研修や外部研修機関によるビジネスマナー教育を実施します。
また、研修後もOJT計画、メンター制度などのフォローアップ体制を構築し、社内教育を徹底します。
新卒者の早期離職は、これらの投資を一挙に棒に振ることを意味しています。採用活動に要した費用も加算すると莫大な金額が生じます。
企業イメージや応募人材の質の低下
「離職率の高さ」も日本型雇用では歓迎されるステータスではありません。
特に新卒離職率の高さは企業にブラックなイメージをつけてしまうため、注意が必要です。
新卒者は企業を選定する際、必ずと言って良いほど「離職率」をチェックします。
慢性化すると応募人材の質の低下や内定辞退率の上昇を招きます。企業にとってマイナスのであるのはあえて指摘するまでもないことです。
企業文化や成長意欲の低下
若手人材は既卒と比較し、企業文化に馴染みやすく成長意欲を持っています。
企業にとって若手を採用する最大のメリットと言って良いでしょう。
特に成長企業においては既存の社員より優秀な素質を持つ人材が集まりやすく、将来的な飛躍を助けます。
しかし、早期離職してしまっては文化も成長もありません。必然的に企業から成長の色が失われてしまいます。
早期離職を防ぐための対策
最後に早期離職を防ぐための対策を紹介します。
ワークライフバランスに向けた施策
若手人材の多くは私生活を犠牲にするような働き方を求めません。
契約的に許されるからと、入職直後からの長時間労働や休日出勤の要求を繰り返す行為は避けるべきと言えるでしょう。逆に有給取得率の向上やノー残業デーの導入など、ワークライフバランスの確保に繋がる施策は直接的なアプローチとなり得ます。
労務管理の適正化
サービス残業や出勤などの違法行為が生じないよう労務管理の適正化すべきです。
若手人材の一定数は転職理由に「賃金の条件がよくなかった」を挙げています。
中小企業において急速なベースアップは現実的ではありませんが、サービス残業などの悪習を無くすことで、コストをかけない、労務管理による実質的な賃上げが可能です。
人間関係への注意
若手人材の多くは「先輩」や「同僚」との関係悪化を転職動機としています。
したがって、人間関係に注意を払うことで、早期離職対策が可能です。メンターを決めて終わりではなく、
双方の関係がうまくいっているか、教育が順調に進んでいるかなど、直属の上司に監督するよう促すと良いでしょう。
特に経験の浅い人材にメンターを任せる場合、注意が必要となります。
インターンシップの導入
インターンシップの導入も早期離職の抑止に有効です。
若手人材の一定数は入職後、仕事が合わないとミスマッチを感じ離職します。
事前に職場を体験できるインターンシップの活用はこうしたミスマッチの抑止につながります。
社内SNSの活用
社内SNSを活用したフォローアップ体制の構築も有効です。
若手人材は強い熱意こそ持ちますが、視野が狭く、問題が生じると思いつめます。特に上司や先輩など身近な存在に原因がある場合、相談できる相手を失った状態にあるため、孤独感を抱えがちです。
社内SNSはこうした若手社員の視野を広げ、より多くの相談相手を提供できるツールです。時間や場所に捉われず誰にでも相談できるため、悩みに対して助言を得たり、コミュニケーションの活性化などを期待できます。
まとめ
若手社員の約3分の1は入職後3年以内に辞めてしまいます。
離職原因は主にワークバランスや人間関係によるものです。原因に向けた労務管理施策によりミスマッチ防止が挙げられます。
社内SNSの活用も、若手社員の早期離職対策を期待できます。
時間や場所に捉われず、全社員とコミュニケーションが取れるため、周囲の社員に相談できないときに相談したり、フィードバックを得ることが可能だからです。
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