中小企業はPDCAが回りにくい?生産性を高める組織の創り方

中小企業はPDCAが回りにくい?生産性を高める組織の創り方

PDCAとは?

PCDAとは、売上アップや業績向上など企業目標に対する継続可能な改善プランとして、主に日本国内で推奨されている考え方です。

 

ざっくり言えば、ある課題をPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのフェーズに分類し、

順番に繰り返すことで効率や品質を高めていくというもので、各フェーズの頭文字を取りPDCAと名付けられました。

中小企業のPDCAサイクルが回らない4つの理由

PDCAは提唱から50年以上が経過しているものの、未だ多くの価値を生み出し、生産性向上に役立つ考え方です。

 

特に伝統的に改善に強い日本企業との親和性は高く、例えばトヨタはPDCAの実践により有数の成長を遂げた企業です。
ムダがなく単純な理論であることから、現場に落とし込んでもすぐに理解されやすく、中小企業が実践しやすいもとされています。

ところが、最近「自社でPDCAを実践したがうまくいかなかった」と嘆く中小企業の経営者が増えています。

 

なぜでしょうか。

まずはPDCAを初めて実践する中小企業経営者が陥りやすい、4つの落とし穴を解説します。

Pの設定がしっかりできていない

PDCAにおいて最も重要な部分はPlan(計画)です。

 

例えば小売業を営む経営者が、計画目標として「売上を増やす」を掲げたと仮定します。

売上を増したいという意図はわかりますが、定量的な数値がなく漠然とした目標です。
これでは、あとに続くD(実行)もどこまでやれば良いのかわからず、
「売れ筋をいっぱい仕入れる」、「広告をたくさん出す」と曖昧なものにならざるを得ません。

 

PとDがこのように展開してしまうと、どの実行がどのような成果を出したのか、正しくCheck(評価)できません。

当然、PDCAの最後に来るAct(改善)も具体性を帯びなくなり、典型的な失敗例と評価されます。

P→Dだけのサイクルになっている

PDCAサイクルが途中までしか実践されず改善につながらないパターンです。

 

PDCAは4つのサイクルを循環し計画実現を目指すという考え方ですが、

単純にビジネスを展開するだけならP(売上のために製造)とD(作ったものの販売)のみでも可能です。

例えば、CとAを必要と感じた時(肌感覚)だけ実践するという運用でも、一応成り立ちます。

 

しかし、PDCAの真価はD(実行)により得られたデータをCとAのフェーズで評価・改善方法とすることで、持続可能な成長を目指す部分にあります。

「PとDを繰り返し、CとAは都度感覚で」という運用では、仮に実行段階で成功結果を得たとしても、

「期間中に実施したどのアクションが成果につながったか?(失敗したか?)」を正しく判定できず、PDCAのキモである再現性・改善性が得られません。

日々の業務をただこなすだけ

現代社会は流動性が激しく予測不可能と言われる時代です。

 

最近、欧米ビジネス社会ではこのような現状を指し「VUCA(ブーカ)」と表現しています。
ブーカとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の4つの要素をまとめた言葉で、
変化を嫌う現状維持型のビジネスが限界を迎え、課題発見と解決力が必要と指摘しています。

 

新型コロナウイルス蔓延は飲食業界にとって、予測できない事態となりました。
他の業界においてもこのような事態は多々発生しうる社会です。
PDCAを実践するにしても、日々の業務を繰り返す現状維持でなく、改善と解決策による成長が必要という話です。

 

ブーカ:https://www.i-learning.jp/topics/column/business/vuca-era.html

 

PDCAのサイクルが遅い

最後に指摘されるのは、PDCAのサイクルがあまりにも遅く、時代の流れについていけないというパターンです。

 

実のところ、PDCAは提唱から50年が経過し、
また、日本企業の凋落もあり「時代遅れ」との指摘があります。

 

ただし、これはPDCA自体の問題ではなく、
実践側である企業の姿勢が硬直化し、
時代の流動性についていけなくなり生じた一面とも言われています。

 

現代社会は変化が激しく予測困難な時代です。

従来の悠長なPDCAサイクルの回し方では、
時代のスピードや予測不可能な事態に対応できず、取り残されてしまうリスクがあります。

PDCAサイクルを回すための3つの方法

中小企業が現代社会を乗り切り、成長を遂げるには、

PDCAサイクルの確実な実践と時代の変化に対応したスピードが必要です。

ここからは、PDCAを確実かつ効率的に実施するために必要な、基本的な方法をご紹介します。

 

Pを明確にする

PDCAのP(計画)の内容を明確なものにしましょう。

最も簡単な方法は目標設定を指標化することです。
KGIとKPIという2つの考え方が役立ちます。

 

KGI(Key Goal Indicator)は日本語で重要目標達成指標と訳されます。
小難しく感じるかもしれませんが、
要は「前年の同じ時期と比べて純利を30%アップする」など最終的な目標を指標化したものです。

 

これに対して、KPI(Key Performance Indicators)は「KGI実現のための中間目標」という位置づけです。
先ほどのKGI(純利30%アップ)に対して、
KPIは「前年同期比で人件費を15%圧縮する」、「前年同期比で売上を20%アップする」など、
KGIの実現に向けた個別目標として用います。

 

PDCAを上手に実践するためには、KGIとKPIという2つの指標を立て、
実現可能な範囲で定量化し、P(計画)に落とし込むと良いでしょう。
「売上アップ」など曖昧な計画を定量化する(30%アップ、など)ことで、
他の段階「D(実行)、C(評価)、A(改善)」も具体化し、評価・改善が容易にできるサイクルが生まれます。

「C」「A」のための時間を確保する

「Pを具体化し実践したがうまくいかない」という時は、

C(評価)とA(改善)の検討時間が確保されているか確認しましょう。

 

先ほど触れた通り、C(評価)とA(改善)は肌感覚で回されやすいフェーズです。

しかし、1つの行動に対して1つの評価を与えなければ、

仮に一時的にうまくいっても「どの行動が結果につながったのか?」を洗い出せず、結果として再現性や改善性が得られません。

 

そして、ここからが本題ですが、評価や改善策はしっかりと時間をかけなければ、適切な判定ができません。

特に改善策に関しては問題解決を急ぐあまり、場当たり的な対応をしてしまい、結果、有効とは言えない改善策を立ててしまう失敗例が見られます。

これを防ぐには、しっかりとしたデータ分析と改善策を立案できる、時間をかけるしかありません。

 

最近はPDCAの高速化に向けた分析支援ツールや人工知能ツールなども出ていますので、活用するのもひとつの手でしょう。

履歴を記録する

PDCAサイクルで得られた成果や失敗例は、データ化し蓄積されるべき資産です。

 

PDCAサイクルは周回を前提とした考え方です。はじめは有効な成果が得られなくとも、

何度もサイクルを回すことで良好な結果が得られるパターンや

逆に悪影響が生じたときに速やかに立ち直る改善案が得られます。

 

つまり、PDCAの肝心かなめの部分は「履歴」にあると言えるのです。

はじめこそ、「肌感覚時代と変わらない」と感じてしまうかもしれませんが、

1年あるいは数年後、比べようもない高い再現性・改善性を得ています。

PDCAにおいて蓄積されたデータは、まさに企業の命です。

まとめ

PDCAとは、企業における目標実現のために、業務フローを計画・実践・評価・改善の4つのフェーズに分類した考え方です。

国内企業における実践例は多く成果も出ているシステムですが、実際に導入すると思ったように回らないというケースがしばしばあります。

 

そんな時に注意すべきは、PDCAの運用方法です。

目標設定が曖昧だったり、評価や改善が正しく行われていないときは、PDCAが成果を残すことはありません。

また、現代社会は変化の速い時代であるため、PDCAにも相応のスピードと効率性が求められます。

 

ひとつの解決策は、効率アップのための爆速ツールの導入です。

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